NHKのプロデューサーが担当しているという
ボイスドラマのオーディション。
3度目の横浜のビルは
相変わらずどの階も暗かったが、
事務所の階だけは明かりがついていました。
担当者に個室で待つようにと言われ待っていたところ、
事務？の若目な女性が出てきた。
「まずはオーディション一次合格おめでとう！
それとは別に話があるんだけど…」
女性は、
「話していたNHKのプロデューサーがあなたの声を気に入って、すぐに採用したいと言ってきた。
しかし、初心者なのでレッスンを受けることが条件である」
と、説明してきた。
れ、レッスン…？
全5回で15万円かかるそうだ。
私「いや、15万は無理です…」
女性はボイスドラマのCDを渡してきた。
出演者を見てみると、
以前、一世風靡した「ぐぅぐぅぐぐぅ」でお馴染みの女性芸人さんの名前と、
キレながら世の中の問題を切っていく早口漫才のツッコミである、パラダイスな方の名前が書かれてあった。
なんとも絶妙な信憑性のある名前…
「このCDのボイスドラマの新作に参加することになります」
すると女性は「ちょっと待ってね」
と、部屋を出て行きました。
数分後、以前名刺を渡してきた、
かっふくのいい”何かしらの社長”が来た。
「久しぶりです。15万は高いよね。
レッスンの先生と相談したら、あなたは見込みがあるので7万円で大丈夫そうなんだけどどうかな？」
私は渋りました。
「ちょっと待ってね」
“何かしらの社長”と入れ替わりで、
先ほどの女性が入ってきた。
「7万ってめちゃくちゃ安いよ！」
私「いまお金ないんで…」
「そうなの？今決めないとこの話は流れてしまうよ」
私「引越しとかしてないんですよ…」
と、押し問答。
痺れを切らしたのか、女性は表情を変えて
「え、一円もないの？」
と、言いました。
今考えたら、本当に恐怖の一言です。
私は渋りましたが、
なんとも絶妙な信憑性のある著名人の名前や、
何か新しいことに挑戦したいという気持ち、
とりあえずここから抜け出したいという思いが巡った末…
1万円を支払いました。
翌日、私は
市役所の消費者センターへ相談に行きました。
担当者「あー、これは…」
“やっちゃいましたね”な顔をした担当者は、
クーリングオフ制度の説明をしてくれた。
書面を送ってからは、特に事務所からは連絡は来なかった。
もちろん1万円は返ってこず…
本当にバカなことをしたな…と思いました。
ネットで今回のナレーションバイトについて調べたところ、
全く同じ内容で「怪しい！」と言っていたYoutuberがいた。
少しでも怪しいと思ったら、ネットで調べなきゃいけないですね。
最近、インスタなどで
「社会人ミュージシャン募集」や社会人をターゲットにした広告をよく見ます。
社会人は学生よりお金持ってるので、
ある程度の金額は払えると見込んでいるのでしょうね。
大人の”新しいことに挑戦したいという気持ち”に
漬け込んでくる広告や募集には、
本当に気をつけてください！
完
